はじめに
講義の様子  山部赤人は、上代の万葉集のみならず、和歌文学全体を代表する歌聖ですが、そのすごさを我々はどこまで知っているでしょうか。彼のすごさは、周到に計算して言葉を組み立てる点にあります。
 本サイトでは、私が専門書『万葉赤人歌の表現方法 批判力と発想力で拓く国文学』で指摘した周到な計算を、平易な動画講義形式で解説します(『万葉赤人歌』寄贈図書館はこちら)。
 ただ、平易と言っても、大学の講義や高校の模擬授業、あるいは、一般向けの各種講座に活かすべくつくってあるため、サラッと雰囲気を感じとりたい方には無用の長物でしょう。しかし、深く学びたい方や教養を高めたい方にはいいかもしれません。
 また、免許状更新講習の講師をして知ったのですが、中学校のなかには、有名な富士讃歌の反歌だけでなく、長歌もセットで教えるところがあります。調べると、光村図書の教科書『国語3』中「君待つと」がそうでした。現場の先生方や向学心あふれる生徒諸君には、Ⅲ前半・後半をおすすめします。

 愛知教育大学教授 田口尚幸【ひさゆき】 動画講義
Ⅰ 『万葉集』378番の藤原家之山池歌
【三重に絞り込む空間と時間の同調:奈良県奈良市】
いにしへの古き堤は年深み 池の渚に水草生ひにけり (前半10分+後半9分)
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別ver.
(夢ナビ講義動画「山部赤人はなぜ歌聖か」)
Ⅱ 『万葉集』942-945番の辛荷島歌
【幾何学模様的に繰り返す表現:兵庫県たつの市】
玉藻刈る辛荷の島に島廻する鵜にしもあれや 家思はざらむ (前半9分+後半9分)
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Ⅲ 『万葉集』317-318番の富士讃歌
【富士とその白さを画竜点睛的に演出:静岡県静岡市】
田子の浦ゆうち出でて見れば ま白にそ富士の高嶺に雪は降りける (前半10分+後半10分)
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どう教えるか
(拙稿を閲覧)
Ⅳ 『万葉集』923-925番の吉野讃歌第一歌群
【驚異的几帳面さの三重の絞り込み:奈良県吉野町】
み吉野の象山の間の木末には ここだも騒く鳥の声かも (前半10分+後半5分)
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短縮ver.
(夢ナビTALK「前頭葉直撃の古典文学」)
Ⅴ 『万葉集』1424-1427番の春歌四首
【表現の僅かな差異で流れを創出:場所不明】
春の野に菫摘みにと来し我そ 野をなつかしみ一夜寝にける (前半10分+後半10分)
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Ⅵ 『万葉集』431-433番の真間娘子歌
【聞く歌としてのエンターテイメント:千葉県市川市】
我も見つ人にも告げむ 勝鹿の真間の手児名が奥つ城ところ (前半9分+後半9分)
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Ⅶ 『万葉集』372-373番の春日野歌
【空気遠近法的表現で徐々に焦点化:奈良県奈良市】
高座の御笠の山に鳴く鳥の 止めば継がるる恋もするかも (前半10分+後半9分)
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要旨
(夢ナビ講義)

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