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はしがき | 2〜 4頁 |
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目次 | 5〜 6頁 |
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第一部 『伊勢物語』を読む前に知っておきたいこと | − | |||||
章 | 節 |
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概要 | |||
T章 わからないところは自分流に読む | @ 『伊勢物語』に多い、諸 説分かれるケース | 124段 76・87段 |
おぼめかす文体の『伊勢物語』からは、いろんな答がでてきてしまう。 | 8〜 14頁 |
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A しかし、作者に聞けば いいというものではない | 「先生からの質問」 種明かししない漫画家 |
聞かれた作者(黒井千次)が、聞いた読者に、辛口批判。自分で考えるべきだ、と。漫画家の井上雄彦も似たような発言。 | ||||
B 作者が見えないなら、なおのこと自分で考える | − | 原作者・作者・編集者・書写者…。作者が見えないからこそ、気兼ねなく自分流に読める。 | ||||
U章 つなぎ読みなら自分流に読める | @ 答が二通りの例はいろ いろある | 「多義図形」 歌詞の状況設定を討議 |
答が二通りに分かれたという「先生からの質問」以外にも、二通りに見える例はいろいろある。 | 15〜 22頁 |
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A 章段の評価が二通りに分かれた例 | 20段 15・86段 |
気が利いているとも、間が抜けているともとれる二○段。一五・八六段も、状況がわからない。 | ||||
B しかし、つなげば答を絞 りこめる | 「多義図形」改 1・23段 |
つながりのなかで見ることで、絞りこめる場合もある。「つなぎ読み」の可能性に賭ける。 | ||||
V章 個別読みに対するアドバンテージ | @ 『恋する伊勢物語』の個 別読み | 『恋する伊勢物語』 | 『伊勢物語』の本のなかでは有名な、俵万智『恋する伊勢物語』の個別読みを紹介。 | 23〜 30頁 |
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A 60段と62段は、個別に 読むか、つないで読むか | 60・62段 | 六○段と六二段を個別に読む『恋する伊勢物語』と、両段をつなぐつなぎ読みを比較する。 | ||||
B つなぎ読みのアドバンテージを補強 | 13・16・61・63段 田舎否定章段 |
つなぎ読みは、どこまでも深く広く読める。 | ||||
W章 グループ別読みに対するアドバンテージ | @ 『鑑賞日本古典文学』の グループ別読み | 『鑑賞日本古典文学』 | 国文学界で広く知られている片桐洋一『鑑賞日本古典文学』の、いわゆる「三段階成立論」を紹介。 | 31〜 37頁 |
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A グループ別読みの盲点 | − | グループ読みには、人物把握が大まかになる、グループをまたいでのつなぎ読みができない、といった盲点がある。 | ||||
B つなぎ読みは深く広く | さまざまな章段 | グループ読みをすれば深く広い物語世界を見過ごすことになるが、つなぎ読みなら見過ごさない。 | ||||
X章 自由な読みにもルールはある | @ 自由なテクスト論でも、 言いたい放題は不可 | 「このはしを渡るべからず」 | ルールのなかで工夫するからこそおもしろい。いくら自由なテクスト論でも、最低限のルールは守りたい。 | 38〜 42頁 |
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A 自由度を制限し、深く広 くつなぐ | − | 自由に深読みできるところは制限される。また、深く広くつながる物語世界を追求することが、つなぎ読みの使命。 | ||||
B つながりが途切れるよう な読みは行なわない | 田舎否定と挫折を認めない説 14・15段 |
一つの章段内だけで見れば成り立っても、つなぎ読みの立場からは許容できない説がある。 | ||||
第二部 つないで通し読みする昔男一代記 | − | |||||
T章 昔男一代記のはじまり (二・六・一五・一六段) |
@ 「ボロは着てても心はミヤビ」な女に惹かれる | 2段および近隣章段 (以下同じ) |
没落しても誇りを失わない女に惹かれ、原体験としてインプットされる。 | 44〜 59頁 |
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A 容貌だけで選んだ姫君とは結ばれない | 6段 | 内面が記されない高貴な姫君に対しては、外面に惹かれただけ。 | ||||
B 田舎女は論外 | 15段 | 内面重視を学んだが、生来の田舎女は論外となる。 | ||||
C 「ボロは着てても心はミヤビ」な友達に共感 | 16段 | 没落してもなお誇りを失わない友達の姿に共感し、進むべき方向性を見出す。 | ||||
U章 対照例によって際立つミヤビの本質(一七・一八・二三・二四段) | @ 本物のミヤビはクールでなければならない | 17段 | 「クール」とも「冷淡」とも読める章段。一六段の口直しとしてつなぐなら、前者。 | 60〜 73頁 |
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A ミヤビなふりだけしてい る偽者 | 18段 | 真のミヤビを明確化するために、真贋の見分け方を示す。気取っているだけの偽者もいる。 | ||||
B 「ボロは着てても心はミヤビ」な女と、ヒナビなだけの女 | 23段 | ミヤビな大和の女とヒナビな河内の女を対照。愛の質や、待ちつづける耐性の強弱も対照。 | ||||
C ミヤビをとり戻した昔男にとって、片田舎の女は不要 | 24段 | 片田舎住まいでなくしたミヤビを宮仕えしてとり戻すと、片田舎の女は眼中に入らなくなる。 | ||||
V章 イロゴノミ修行の日々(二五・二八・三四・三七段) | @ イロゴノミ女にもてあそば;れる | 25段 | 相手が小野小町とおぼしき手強いイロゴノミ女では、苦戦を強いられる。 | 74〜 81頁 |
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A イロゴノミ女に捨てられる | 28段 | プロットが進むにつれ、状況が前より悪化する。 | ||||
B 堕ちきって、一喝のコメント | 34段 | 堕ちるところまで堕ちきる。一喝コメントで仕切りなおす。 | ||||
C イロゴノミ女を従える | 37段 | 二五・二八段のリベンジマッチ。強さをとり戻す。 | ||||
W章 なかだるみからの復活(四一・五九・六三・六五段) | @ 一変して優男化する | 41段 | 共感にもとづいた一六段の援助とは異なり、親類というだけで援助する。ただ連帯しているだけの平和ボケの日々。 | 82〜 96頁 |
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A なかだるみを仕切り直しするために一旦死ぬ | 59段 | 三八段以降の馴れ合いをリセット。隠居生活を望む流れも遮断する。 | ||||
B イロゴノミのヒーローとして完璧すぎるほどに復活 | 63段 | 確立された権威として完全復活する。全知的で、余裕すら見せる。復活劇第一幕。 | ||||
C タイムスリップしてシリアス路線に軌道修正 | 65段 | 完璧すぎた復活を軌道修正し、悩みもがくシリアス路線が復活する。復活劇第二幕。 | ||||
X章 超えられない現実のカベ(七六・八一・八六・八七段) | @ タイムスリップから戻り、 さらに厳しい現実に直面 | 76段 | タイムスリップの揺り戻しの後、皇太子の母となったかつての恋人と対面。厳然たる身分差に直面。 | 97〜 111頁 |
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A 翁役に慣れるほど、本 音の隠し方もうまくなる | 81段 | 政治的敗者である源融の邸で、翁として言祝ぐ。完璧に翁の役柄になりきっているため、本音も見えにくくなっている。 | ||||
B さすがのイロゴノミもお手あげ | 86段 | 仕事の忙しさと時間の流れは、男女の関係をも風化させる。そういうエピソードを思い出す。 | ||||
C やるせない虚無感 | 87段 | 一時的に慰められても、結局は現実から抜け出すことはできない。最後の一文がハッピーエンドを拒む。 | ||||
Y章 妥協後の八つ当たり(九三・九五・九六・一○一段) | @ 「恋は分相応に」宣言 | 93段 | 身分差をものともしなかったのは過去の話。かつてのイロゴノミも、今は分相応に生きる。 | 112〜 121頁 |
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A 本命はあきらめ、滑り止めに妥協する | 95段 | 二条后本人ではなく、そこに仕える女房と結ばれる。分相応な妥協を実践。 | ||||
B 相手を呪うまで荒れる | 96段 | 行きちがいのあった女に呪いをかける。すさみゆく斜陽の昔男。 | ||||
C 黒い翁の藤原氏批判 | 101段 | 翁の仮面性を悪用し、藤原氏批判を繰り返すようになる。すさんできた証拠。 | ||||
Z章 ウソに満ちた物語世界(一○三・一○四・一○五・一一一段) | @ 語り手の不真面目なウソ | 103段 | 語り手の不真面目なウソが、物語世界をスレたものに感じさせる。 | 122〜 129頁 |
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A 語り手のウソと昔男の堕落 | 104段 | 語り手は不真面目なウソをつき、昔男は堕落して晩節を汚す。かつての斎宮物語も地に堕ちる。 | ||||
B ウソをついて哀願する | 105段 | 見え透いたウソをついて女に接近し、見下されても、言い返せない。 | ||||
C 口から出まかせ | 111段 | 行き当たりばったりで、平気でウソをつく昔男。女にも見透かされ、みじめ。 | ||||
[章 崩壊するアイデンティティー(一一四・一一六・一二三・一二五段) | @ バランス感覚を喪失 | 114段 | 以前は体制批判しても相手を怒らせることはなかったが、八方破れで失態を演じる。 | 130〜 140頁 |
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A ミヤビのアイデンティティーを喪失 | 116段 | ずっとヒナビを否定していたのに、今はみちのく住まいに満足してしまう。 | ||||
B イロゴノミのアイデンティ ティーを喪失 | 123段 | 別れるつもりでいたどうでもいい女に妥協する。基準を下げる。 | ||||
C 突然死ではなく、必然死 | 125段 | アイデンティティーが崩壊すれば、あとは死あるのみ。必然的に死ぬ。 | ||||
第三部 『伊勢物語』研究の展望と参考文献案内 | − | |||||
T章 『伊勢物語』研究の展望 | @ 『伊勢物語』研究が絶えることはないのか | − | 一つの古典が長年研究されているのに、なぜ掘り尽くされないのか。それは、さまざまな研究方法があるから。 | 142〜 150頁 |
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A 『伊勢物語』研究の行き詰まり | 掘り尽くされなくても、問題はある。難攻不落の『伊勢物語』に対しては、それに適した研究方法を熟慮しなければならない。 | |||||
B 相補論(つなぎ読み)自体も乗り越えてほしい | 相補論(つなぎ読み)にも欠点はあるはず。それを乗り越える新人の登場を期待する。 | |||||
U章 『伊勢物語』に親しむための参考文献案内 | @ 参考書 | 『伊勢物語相補論』 「伊勢物語で遊ぼう」 『伊勢物語・大和物語論攷』 |
つなぎ読みをよりくわしく知るための専門書とホームページ、および、それ以外の専門書。 | 151〜 155頁 |
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A 注釈書 | 『新潮日本古典集成』 『伊勢物語全評釈』 |
手頃でおすすめの注釈書と、諸説を一覧できる分厚い注釈書。 | ||||
B 図録 | 『新潮古典文学アルバム』 | 絵巻・写本・ゆかりの地などの写真が豊富で、かつ、コンパクトな図録。 | ||||
C 影印本・字典 | 『影印校注古典叢書』 『字典かな』 |
写本の雰囲気を味わえる影印本と、その助けとなる字典。 | ||||
あとがき | 156〜 157頁 |
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Table of Contents | 158〜 159頁 |
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著者紹介・奥付 | − |