インターネット博覧会連載「伊勢物語で遊ぼう」


以下の「伊勢物語で遊ぼう」は、インターネット博覧会で講談社が運営していたサイト「デジタル王朝文学館」への連載平13・11〜12がオリジナルです。 博覧会終了と同時に研究室のサイトに移し、後に、「伊勢物語対話講義」との連動を見越して、全面改訂を行なっています。

内容は、私が長年専門的・学術的に書いてきた 「配列順相補的解釈シリーズ」(平15・10おうふう刊の専門書『伊勢物語相補 論』第二部第二章に当たる)を平易にかみくだいたもの。 論文のエッセンスを、インターネット世代に向けて書いています。 範囲は、シリーズ2本目終わりの37段までで、全16回。38段以降は省略しています。 言ってみれば、持論を周知するための誘導標識のようなものです。

なお、速読やプリントアウトのために、「ダイジェスト版」も用意しました。 もともとは大学院生が要約したものですが、やはり全面改訂しています。


はじめに


「伊勢物語で遊ぼう」を連載することになりました。 田口尚幸【ひさゆき】と申します。 よろしくお願いします。 ぼくは、今、愛知教育大学というところで上代・中古の国文学を教えています (詳しいことは 「愛知教育大学田口研究室」を見てください)。 大学院の修士課程の頃からひょんなキッカケで伊勢の研究をはじめ、長年かけてついこないだ自分なりの論を完成しました。 専門書(平15・10おうふう刊の専門書『伊勢物語相補論』に当たる)にして出す予定はあるんですが、専門書だと、一般人はもちろん、 研究者でさえ、難しがってなかなか読んでもらえないですからねぇ。そこで、インターネット世代の大勢に読んでもらおうと思い、平易にかみくだいたかたちにして、 この連載をはじめるわけです。分量的には、七本ある論文のうちの二本目までにとどめ、そのエッセンスを伝えられるよう工夫しました。章段番号で言えば、1〜37段までで、38段以降は省略しています。

タイトルは、「伊勢物語で遊ぼう」。 王朝文学にありがちな高級和風料理のような香りが全く感じられないヘンなタイトル。 このタイトル、ぼくが理想とする前頭葉直撃主義に由来しています。  「面白いこと考えるじゃん」と、読者の前頭葉をピリピリ刺激したい。 その論があることで伊勢が面白くなれば、もう最高。 知的に遊んでもらいたい。だから、「伊勢物語で遊ぼう」なんですよ。

あともう一つ、ねらいがあるんです。この「デジタル王朝文学館」にしてもそうですが、 なんで源氏ばかりなんでしょうね。 源氏が大横綱だってことは認めますよ。 でも、伊勢だって名横綱なんです(張出横綱かもしれないけど)。 ある有名な研究者なんか、自分が書いた伊勢の注釈書の解説で、 伊勢は源氏といういい後継者が現れてくれて幸運だ、 なんてこと言ってます。それじゃ、源氏の露払いみたいにとれますよ。 伊勢も横綱だということをこの連載を通じて伝えていけたら、とも考えています。

ダイジェスト版こちら
★伊勢の全原文は、「日本語テキストイニシアチブ」でご覧になれます(こちら)。
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目次
はじめに
第1回 第2回 第3回 第4回
第5回 第6回 第7回 第8回
第9回 第10回 第11回 第12回
第13回 第14回 第15回 最終回
「ダイジェスト版」「伊勢物語対話講義」
単著専門書『伊勢物語相補論』入門書『伊勢物語入門』なぞり書き本『読めて書ける伊勢物語』
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