研究の概略と業績一覧


    
研究概略
上代・中古・中世・近世に時代区分される古典文学のうち、上代では山部赤人、中古では伊勢物語、近世では箏曲地歌歌詞を研究対象とする。

研究活動は、通説と紹介されることもある伊勢物語三段階成立論の検討・批判からはじまった。 成立論的時間軸を不要とする結論に至ってからは、章段どうしを縦横につなぎつつ積極的に読みを仕掛けていく「相補論」=「つなぎ読み」を提唱。 一通りの通読を終えた後、つなぎ方が一通りでないことを説くための「可変論」にとり組んでいる。
単著には、専門書 『伊勢物語相補論』と、その持論を周知するための入門書『伊勢物語入門』なぞり書き本『読めて書ける伊勢物語』がある。 また、「伊勢物語対話講義」インターネット博覧会連載「伊勢物語で遊ぼう」でも、持論の周知につとめている。

伊勢物語研究において読みの多様性を認める一方、赤人歌研究では、作者の周到な計算にもとづく表現方法の解明に力を注ぐ。 そして、現状打開をめざす立場から、先行研究の是非を明確化する批判力と、新地平を拓き得る発想力の必要性を説く。
単著専門書『万葉赤人歌の表現方法』もある。

その本でやり残した問題を解こうと執筆しはじめた論文を一書にまとめた、単著専門書『上代イニシヘ/ムカシ考』もある。国文学者の私ではあるが、国語学的なアプローチをしている。

偶然連載することになった箏曲地歌歌詞の解説は、ポピュラーな50曲を収録する
単著注釈書『箏曲地歌五十選』となって結実した。 演奏家から依頼されて啓蒙活動を行なうこともある。
研究業績一覧は「researchmap」にもあり、リポジトリで無料公開中の論文に関してはリンクもしてあります。
発表年月 著書・論文・解説等研究業績一覧 全て単独執筆 書名・雑誌名 発行機関
昭和63年6月 「雅平本業平集の編纂態度
−その詞書の生成過程と典拠資料についての考察−」

慶大リポジトリ
「三田国文」9号 三田国文の会
平成1年5月 「狩使本伊勢物語の二部的構造
−現存業平集と伊勢物語の関係についての考察−」
機関誌リポジトリ
「中古文学」43号 中古文学会
平成2年1月 「伊勢物語歌の『業平歌らしさ』
−新古今集・新勅撰集の採歌態度についての考察−」
「解釈」36巻1号 解釈学会
平成2年2月 「在中将集と雅平本業平集の関係について」 「文学・語学」124号 全国大学
国語国文学会
平成2年12月 「狩使本伊勢物語について
−その断片資料に見る新しさ−」

機関誌リポジトリ
「中古文学」46号 中古文学会
平成4年6月 「伊勢物語八七段の解釈」 「解釈」38巻6号 解釈学会
平成4年6月 「『伊勢物語』23段第二・三部の解釈」 「文学研究」75号 日本文学研究会
平成5年3月 「伊勢物語の地の文における対人物ソ/コ系指示語の使い分け」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」51集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成7年3月 「伊勢物語の相補的解釈
−一章段内の部分単位での考察−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」53集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成7年5月 「伊勢物語の相補的解釈
−その序説としての試論−」
『伊勢物語 諸相と新見』 風間書房
平成8年3月 「慶大蔵『伊勢物語繪詞』について
−新出狩使本資料の紹介と検討−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」54集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成9年2月 「『色好み』関係章段」 『歌語り・歌物語事典』 勉誠社
平成9年6月 「伊勢物語の〈モラル〉
−美的規範あるいは補償行為としてのミヤビ−」

機関誌リポジトリ
「日本文学」46巻6号 日本文学協会
平成10年3月 「伊勢物語におけるソ/コ系指示語の使い分け(続)」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」56集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成11年3月 「イロゴノミとして成長する昔男
−伊勢物語二一〜三七段に見る積層構造−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」57集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成11年3月 「〈連帯〉に安息する昔男
−伊勢物語三八〜四八段に見る〈孤高〉からの脱却−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」7号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成11年9月 「成立論から相補論へ
−新世紀の伊勢物語研究−」
『論叢伊勢物1 本文と表現』 新典社
平成11年10月 「原体験へと回帰する昔男
−伊勢物語一〜二○段に見る〈心〉と〈かたち〉の二元論−」
『講座 平安文学論究 第十四輯』 風間書房
平成12年3月 「復活する昔男
−伊勢物語四九段〜七六段に見る二度の再生−」
愛教大リポジトリ
「愛知教育大学研究報告
人文・社会科学編」49輯
愛知教育大学
平成13年3月 「〈老い〉を受け入れる昔男
−伊勢物語七七〜九五段に見る現実との折り合い−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学研究報告
人文・社会科学編」50輯
愛知教育大学
平成13年3月 「すさみゆく昔男
−伊勢物語九六〜一一四段に見る自暴自棄的荒廃−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」59集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成13年11月
〜12月
「伊勢物語で遊ぼう」(全16回) インターネット博覧会
「デジタル王朝文学館」
講談社
平成14年3月 「必然的な死を迎える昔男
−伊勢物語一一五〜一二五段に見る妥協・諦観・終焉−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」60集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成14年3月 書評 菊地靖彦著『伊勢物語・大和物語論攷』
機関誌リポジトリ
「日本文学」51巻3号 日本文学協会
平成15年9月
〜19年5月
「箏曲・地歌を解読しよう 歌詞解読講座」(歌詞解説40回+番外5回)
researchmap
「邦楽ジャーナル」vol.200-244 邦楽ジャーナル
平成15年9月 『伊勢物語相補論』
詳細
単著
上記諸論文を補訂した専門書
おうふう
平成16年6月 『伊勢物語入門 ミヤビとイロゴノミの昔男一代記』
詳細
単著
(上記専門書の入門書
鼎書房
平成17年3月 「旧稿の訂正と補足
−伊勢物語における業平集所載歌章段の位置関係を中心に−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」13号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成17年3月 「赤人三七八番歌の表現方法
−故太政大臣藤原家の山池を詠む歌をめぐって−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」63集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成18年3月 「赤人三七八番追考
−故太政大臣藤原家の山池を詠む歌は讃美の歌か−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」64集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成18年3月 「赤人九四二−九四五番歌の構成美
−辛荷島歌に見る〈三連転換〉〈中央特立〉とその〈相似反復−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」14号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成18年9月 「伊勢物語 筒井筒/布引の滝」 『日本古典への誘い100選 T』 東京書籍
平成19年1月 「オペラ《井筒の女》のストーリー解説あるいは『伊勢物語』との隔たり」
関連記事
「東京室内歌劇場38期第114回
定期公演プログラム」
東京室内歌劇場
平成19年3月 「赤人三一七−三一八番歌の表現方法
−富士讃歌に見る長−反歌の補完的関係−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」15号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成19年3月 「赤人九二三一九二五番歌の表現方法
−吉野讃歌第一歌群に見る三重の〈絞り込み〉−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」65集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成20年3月 『読めて書ける伊勢物語 四十五首の恋心』
詳細
単著
(入門書も兼ねたなぞり書き本
日本習字普及協会
平成20年3月 「赤人一四二四−一四二七番歌の表現方法
−春歌四首の語の配置・型の微調整・積層構造に見る工夫−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」66集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成21年1月 『箏曲地歌五十選 歌詞解説と訳』
詳細
単著
補訂した連載40曲と
書下ろし10曲の
注釈書
邦楽ジャーナル
平成21年3月 「赤人四三一−四三三番歌の表現方法
−聞く歌としての真間娘子歌に見るエンターテイメント性−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」67集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成21年3月 「赤人三七二−三七三番歌の表現方法
−春日野作歌に見る長歌の〈絞り込み=焦点化〉とその〈補足〉としての反歌−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」17号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成22年3月 『万葉赤人歌の表現方法 批判力と発想力で拓く国文学』
詳細
単著
(上記諸論文を補訂した
専門書
鼎書房
平成25年3月 「地歌『長等の春』歌詞の表現世界
−詞と曲の同調あるいは文学と音楽の融合−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」21号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成25年3月 「地歌『こんかい』歌詞の表現世界
−古浄瑠璃『信太妻』をおおもとの典拠と考えた場合の試訳と解説−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」71集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成25年5月 「『地歌動画講義』へのいざない」
「邦楽ジャーナル」vol.316 邦楽ジャーナル
平成25年6月 山部赤人九四五番歌『都太の細江』考
−『万葉集』の表現を中古の表現から見ることの可能性−」

慶大リポジトリ
「三田国文」57号 三田国文の会
平成26年3月 「地歌『新浮舟』歌詞の表現世界
−詞と曲の同調あるいは文学と音楽の融合−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」72集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成26年3月

「陰影をおぼめかす表現方法
−『伊勢物語』を統一体として読むことの可能性−」
愛教大リポジトリ

「愛知教育大学大学院
国語研究」22号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成26年12月 「地歌『越後獅子』歌詞の表現世界
−『お国名物』の選出とそれにかかわる問題−」

機関誌リポジトリ
「日本歌謡研究」54号 日本歌謡学会
平成27年3月 「上代におけるイニシヘ/ムカシの使い分け
−イニシヘ断絶/ムカシ連続説の妥当性および『伊勢物語』への流れ−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」73集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成27年3月 「婉曲的表現方法とその遵守
−『伊勢物語』を統一体として読むことの必要性−」

愛教大リポジトリ
「愛知教育大学大学院
国語研究」23号
愛知教育大学大学院
国語教育専攻
平成28年3月 「上代におけるイニシヘ/ムカシの使い分け (続)
−『常陸国風土記』にイニシヘ断絶/ムカシ連続説を適用することの妥当性−」
愛教大リポジトリ
「愛知教育大学研究報告
人文・社会科学編」65輯
愛知教育大学
平成28年3月 「上代におけるイニシヘ/ムカシの使い分け (続々)
−『日本書紀』にイニシヘ断絶/ムカシ連続説を適用することの妥当性−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」74集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成28年12月 「箏曲地歌歌詞の表現世界−典拠との関係性の問題−」
機関誌リポジトリ
「日本歌謡研究」56号 日本歌謡学会
平成29年3月 『伊勢物語』を統一体と見て一二三段を中心につなぎ読む
−成立論的読みでなく相補論的読みを適用することの妥当性−」
「朱」60号 伏見稲荷大社
平成29年3月 「イニシヘ断絶/ムカシ連続説でわかること
−『日本書紀』『万葉集』『常陸国風土記』『伊勢物語』を例にして−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」75集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成29年12月 「地歌『新青柳』における詞と曲の同調
−文学と音楽の融合をめざして−」

機関誌リポジトリ
「日本歌謡研究」57号 日本歌謡学会
平成30年3月 「森忠明『その日が来る』を導入として用いる『国語科研究』『国語科教育』
−教育大学で他専攻学生に小学校物語教材を講義する際の一私案−」

愛教大リポジトリ
「国語国文学報」76集 愛知教育大学
国語国文学研究室
平成31年3月 中高定番古典教材に関する動画講義も活用した具体的現状打開策
赤人富士讃歌で文法以外にも教えられる本質的かつ知的刺激に富む論の提供−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」77集 愛知教育大学
国語国文学研究室
令和2年3月 「イニシヘ断絶/ムカシ連続説でわかること(続)
−上代から中古の『土佐日記』『古今集』『後撰集』『伊勢物語』『竹取物語』への継承−」
愛教大リポジトリ
「国語国文学報」78集 愛知教育大学
国語国文学研究室
令和4年4月 狩使本『伊勢物語』の位置づけと東下りの九段前後の読み 企画展「伊勢物語とかきつばた」
図録
刈谷市歴史博物館
令和6年3月 『上代イニシヘ/ムカシ考 中古への流れにも論及して』
詳細
単著
(上記諸論文を補訂した専門書
三恵社



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